「葛根湯」(かっこんとう)が、漢方薬の中では有名なお薬ではないかと思います。

葛根湯がどのようなお薬か分析したいと思います。

※薬事法による効能効果と相違がありますが、先人の症例です。

まず、構成する生薬は

葛根4g、麻黄3g、桂皮2g、芍薬2g、甘草2g、生姜3g(乾生姜1g)、大棗4gになります。

各々の使い方を見てみましょう。

葛根(かっこん):日本薬局方では、適用の中では、かぜ薬、解熱鎮痛消炎薬とみなされる処方およびその他の処方に少数例配合されている。これだけは、わかりにくので、漢方薬の専門書を紐解きます。漢方薬専門書(古法薬嚢)では、味(甘平)組織のこわばりを緩めて、首筋から背中にかけて働くとあります。

麻黄(まおう:日本薬局方では、本質として解熱鎮痛薬、非麻薬性鎮咳薬。適用として、漢方処方薬であり、鎮咳去痰薬、気管支拡張薬、鼻炎用薬、解熱鎮痛消炎薬とみなされる処方及びその他の処方に配合されている。漢方薬の専門書では、味(苦温)、表裏の水を逐う。故に汗を発し熱を解し、喘を除き咳を鎮め、痛みをさり悪風悪寒を止める、水気を消す。汗をかくというのは、汗の一つである血虚(血の質低下)の方や血圧が低い方(汗と一緒に気が抜けるため)や汗をかく方には不向きです。

桂皮(けいひ):別名桂枝(ケイシ)シナモンで薬として使われるためには主成分が、基準に達していないと薬としては許可が出ません。日本薬局法に掲載されている桂皮として、本質は芳香健胃薬原料。適用はかぜ薬、鎮痛鎮痙薬、解熱鎮痛消炎薬、動悸抑制薬、保健強壮薬、婦人役とみなされる処方及びその他の処方に高頻度で配合されている。また、芳香健胃薬として消化不良に粉末を配合剤として用いる。また、賦香剤とすることもある。漢方薬の専門書では、味(辛温)。汗を発し表を調える。また衝逆(下から上へつきあがる勢いの事)を主る。動悸・頭痛・息切れ・肩の張り等が衝逆より生ずることがある。表の陽気が虚(低下)する時に衝逆を発する。表を救うものである。

芍薬(しゃくやく):日本薬局方では、本質を非麻薬性鎮痛薬、鎮痙薬。適用が漢方処方薬で、鎮痛鎮痙薬、婦人薬、冷え症用薬、かぜ薬、皮膚疾患用薬、消炎排膿薬とみなされる処方及びその他の処方に高頻度で配合さている。そのほか配合剤の原料とする。漢方薬の専門書では、よくたるみを引き締め痛みを除くとされています。

甘草(かんぞう):リコリスともいい、食品添加物にも使われています。日本薬局方の本質では、消化性胃潰瘍治療薬・嬌味薬。適用として、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮痛鎮痙薬、鎮咳去痰薬、健胃消化薬、止瀉消化薬とみなされる処方及びその他の処方に極めて高頻度で配合されている。漢方専門書では、味甘平。緩和を主として逆をめぐらす。逆とは、正に反する事で、めぐるとは元に戻すことで、つまり厥を復し、熱(発熱ではない)を消し、痛みを和らげ煩を改善すると言われています。

生姜(しょうきょう)」「ショウガ」の事。日本薬局方の本質では、去痰薬、方向性胃薬、嬌味薬。適用で、乾生姜として、かぜ薬、健胃消化薬、鎮吐薬、鎮痛薬とみなされる処方及びその他の処方に高頻度で配合される。また、粉末を芳香性辛味健胃薬として配合剤の原料とする。漢方薬の専門書では、味辛温。胃の気を助け、外を実す。

大棗(たいそう)」なつめの事。大棗を刻まずにそのままのもので、食品です。味甘平。緩和して血の巡りをよくする働きがあるようです。

以上が、各生薬の働きです。

葛根湯はどのような薬か?というと、日本薬局方の本質では、非麻薬性鎮痛薬、鎮痙役となっています。東洋医学では、汗が出ないのは、胃の働きが低下しているためで胃の働きを助けるために甘草や生姜や大棗が入っています。また、汗が出ていないと熱が出ていかないために熱が皮膚のすぐ下にこもります。その熱を取るために芍薬で血のしぶりをよくし、大棗で血のめぐりを良くして、表の皮膚のもつれを桂皮で調整し、麻黄で発汗して熱を出し、葛根で肩から背中にかけての血のめぐりをよくするものと思われます。

効果があった症例では

鼻炎・蓄膿症・難治性の尋常性乾癬・高血圧・腹満・うつ状態・蕁麻疹・風邪・歯ぎしりなどに喜ばれました。