傷寒論中の腹診。

中国の古典である「傷寒論」中の弁厥陰病證併治第一二の二十二条に

傷寒五六日不結胸腹濡脈虚復厥者不可下此為亡血下之死

〈解釈〉傷寒に罹って五六日病は裏(身体の裏の方)入った様だが、しかし結胸はしないで病人は腹満(お腹が張る)を訴えているが腹は軟らかく(濡)脈も虚していてしかも厥(冷え)をも生じていた者は之(これ)は下してはいけない、之(これ)を下してはいけない、此(これ)は亡血であるから之(これ)を下すと死ぬという事。

〈説明〉傷寒に罹って五六日頃になると身体の中に病気に原因である熱気の邪が入ってくる頃であるが、もし熱邪の気が入ってきたら腹は腹が堅くなる筈が柔らかい、しかも脈が虚(弱い)というのは腹の中に熱邪が入っていない証拠。これは血気が少ない為に熱気が内に陥いらない為ではないかと思われる。血気が少ないので亡血と言っているのではないかと思われる。この上に下剤で大便を出すような事をすると血気が少ない上に陽気まで少なくなってします為に死んでしまうというのではないでしょうか。

中国の古典では腹診をやっていた事が記載されています。また、陰陽虚実を理解する事がとても大切だと感じる条文です。