傷寒論中の傷寒例の条文「陰陽」について。

夫陽盛陰虚汗之則死之則癒陽虚陰盛汗之則癒下則癒下則死神夫是則神丹安可以誤発甘遂何妄攻虚盛之治相背千里吉凶之機応若影響豈容易哉況桂枝下咽陽盛即斃承気入胃陰盛以亡死生之要在乎須臾視之尽不暇計日此陰陽虚実之混交錯其候至微発汗吐下之相反其禍至速而医術浅狭懵不知病源為治乃謝使病者殞歿自謂其分至令寃魂塞於冥路死屍盈於曠野仁者鑑此豈不痛歟

解釈

一般に陽が盛んで陰が虚して入状態のものを発汗させると死んでしまう。下してやると癒えるのである。陽が衰えて陰が盛んであるものを発汗してやると癒るのである。下してやると死ぬのである。このようであるならば、軽々しく神丹(発汗薬)を用いて誤って発汗させて良いものであろうか?甘遂が入っている下剤でやたらに下して良いのであろうか?虚に用いる治療と実に用いる治療とは千里の隔たりがある。吉と凶との転機というものは、ちょうどかげやひびきのように速いものである。どうしてたやすいことであろうか!ましてや桂枝湯を服用させ陽が盛んであると倒れるし、承気湯を服用させる陰が盛んであれば、命を失ってします。命の尽きるのは、日数を数える余裕すらないのである。この陰と陽、虚と実の入り乱れだ様子が身体に現れるのは極めて微かであり、見落としやすいが、発汗と吐下の間違った治療を行ってしまうとその禍いは至って速く現れる。それは、医術が浅く狭いために医道の根本をわきまえずに病の起きる源を知らずに治療を施して、誤って病人を死亡させてしまい、それをその人の寿命だと言い逃れてしまう。誤治で死んだ罪のない人の魂は、冥路を塞いでしまい、屍は荒野に満ちてしますのである。心ある人は、これを見てどうして悲しまないでいられようか!

この条文の初めの「一般に陽が盛んで陰が虚して入状態のものを発汗させると死んでしまう。下してやると癒えるのである。陽が衰えて陰が盛んであるものを発汗してやると癒るのである。下してやると死ぬのである。」表が寒邪により陽気が盛んになると解釈すると逆になってしまいます。陽と陰の性質から考えて見ると「陽」は開を司り、陰は閉を司ると考えてみると納得できるのです。つまり、陽が盛んになり陽気がたくさん出てしまっている所に発汗させてしますと陽気が体に少なくなり、死んでしまうのです。

まだまだ勉強しないといけませんね。