陰暦5月の養生です。

6月14日(木曜日)
おはようございます😃
今朝の後楽園は雲が多くなっています。
本日6月14日より7月12日まで陰暦5月に入ります。
今月5月の養生は、『韮』です。
食べ過ぎると元気が少なくようです。
程々が宜しいですね^_^

平成30年6月6日は「芒種」でした。

6月6日(水曜日)は『芒種』です。

遅くなりました。
田植えの頃です。
季節は流れているのですね。
漢方医学では、季節による環境と身体の関係を重視します。天の気から受けた地の気が暖かくなり、土が寒時期を乗り越え、陰の気である土も盛んになり肥沃になってきます。「芒種」の季節になりましたね。

桂枝湯の加減処方から漢方を考える。

「桂枝湯」(けいしとう)の出典は、傷寒論の太陽病上篇第12條にあります。

傷寒論は、今から1,800円程前に「張儀」またの名を「張仲景」先生が、神農本草経という漢方薬の原料である本草(現在の生薬つまり生姜やリコリスデス)の効能を記した書籍と約2,000年前の東洋医学を古典「黄帝内経」(こうていだいけい)を元に漢方治療の指針を書かれました。

「桂枝湯」に入っている生薬を見てみると(新古方薬嚢より)、

「桂枝」(けいし)神農本草経と本草綱目では、桂枝となっています。桂枝と桂皮を別に考えている方もいらっしゃいますので、参考にしていただければと思います。味辛温。表の表に行き、汗を発し(汗が出ていない汗腺から汗を発す)表を整える。また衝逆を主る。衝逆とは下から上へつき上がる勢いを言って、表の陽気が虚する(低下する)時は、よくこの衝逆を発する。桂枝はよく表を救う。

「芍薬」(しゃくやく)味苦平。結実とは凝りの事で、拘攣とは引かれ、引きつられの事で、よくたるみを引き締める痛みを除く作用がある。結実も引き連れも弛みから来るものである。

生姜(しょうきょう)味辛温。乾生姜(八百屋さんで売っている生姜でなく乾燥した生姜)を用いることが多い。気を助け体の外側を実する(機能が低下している状態つまり汗が出やすい状態)。それで生姜が発汗に用いる所以である。

炙甘草(しゃかんぞう)味甘平。緩和を主として逆を巡らす作用があり、逆とは正に反する事で、巡るとは元に戻る事である。厥を復し熱を消し痛みを和らげ煩を治す。薬徴に急迫状態に使うと書かれています。急迫症状として、胃痙攣で甘草1種類で用いる。芍薬甘草湯のような血虚(汗が出て血が少なくなっている状態)で用いる状態や、桂枝甘草湯(桂枝と甘草の2種類の原料)ような心臓が痛いと言った急迫症状などで2種類くらいの入っている原料が少ない時に急迫症状に用いります。多くの原料が入っているときは、急迫症状とは別の効果で用いる。

大棗(たいそう)なつめの事で味甘平。攣引とは、引きつり引っかかる事で強急とはこわばりつまることである。つまり大棗は、緩和の作用があり、血の循りを良くする働きがあります。甘草の所でも記しましたが、全ての作用がいつでも発するわけではなく、一緒に配合される原料(生薬)で変わります。

桂枝湯は、桂枝3.0g 芍薬3.0g 生姜3.0g(乾生姜1.0g)炙甘草2.0g大棗4.0gからなります。(分量は傷寒論に記載されてたもので、現在の薬事法とは異なることがありますが、漢方医学の研究の為に処方を作った方の理解も含めて、原典で記載しました。)

桂枝湯の条文を見てみますね。

太陽病中風陽浮而陰弱陽浮者熱自発陰弱者汗自出嗇嗇悪寒淅淅悪風翕翕発熱鼻鳴乾嘔者桂枝湯主之

読み

太陽病で風にあたり陽ふにして陰弱、陽浮の者は熱自ら発し、陰弱の者は汗を自ら出ず。嗇嗇(しょくしょく)として悪寒し、淅淅として悪風し、翕翕として発熱し、鼻鳴り、乾嘔する者は桂枝湯之を主る。

解釈

太陽の経が風に当てられて、陽の脈である寸口の脈が浮いていて、陰の脈である尺中の脈が弱い状態を現すもので、その寸口の脈が浮いているものは、熱が自然と体表に発するのである。尺中の脈が弱いのは、陰が弱いということであるので、汗が自然と出てくるのである(陽を抑える力が足りないために陽が強くなり、汗が出やすい状態である)。そして、ゾクゾクと悪寒がしたり、ブルブルと悪風がしたり、ポッポっと発熱したりして、鼻がつまって呼吸をする毎に鼻が鳴り、吐きたくてもものが出ないであげっぽい感じがするものは、桂枝湯が主治します。

桂枝湯の対象の方は、汗が出やすい方で、胃が弱い方が多いようです。

同じ風邪やインフルエンザでも汗が出やすい方と汗が出にくい方とでは、体の状態が違うので、必然として漢方薬が異なる事を言っているわけです。

表題に書きました「桂枝湯は加減された処方(漢方薬)」がたくさんあります(今回は傷寒雑病論に載っているものに限定いたします)。上記の症状が基本となっている事を念頭において、加減された漢方薬をみて、身体を診てみると人間の身体がわかってきます。

1 桂枝加厚朴杏仁湯

 桂枝湯に厚朴2.0g、杏仁2.0gを加えた処方です。桂枝湯に加えたものであるので、胃が弱く、汗が出ている状態ですね。杏仁2.0g(味甘温)は腫を決して、ゼーゼーする時に良いとされています。くしゃみや鼻水などが多少あってもゼーゼーするまでにはなっていない。厚朴2.0gは胃の表面の冷えを温めてあげて、滞った気を出してあげます。冷えからきているので桂枝湯の場合は、汗が出てているのですが、汗腺が疎らになっている為、体の表面に熱が出切れていない状態です。その熱が肺にあるためにゼーゼー言うので、温めてあげる必要があります。この場合は、肺に冷えがある為にゼーゼー言っているの状態だとわかるのです。

2 桂枝加附子湯

桂枝湯に炮附子0.2gを加えたものです。炮附子は体の表面の冷えによる痛みに良いとされています。桂枝湯は、体の表面が冷えて汗が出ているが疎らに汗が出ている為に熱がこもっている状態です。この場合は、体質やそのような状態で体の表面に熱がある為に痛みがある場合で、体の表面を正常して中にこもった熱を取り、痛みを取るのです。

3 桂枝去芍薬湯

芍薬は弛みを引き締める働きがあると言われています。桂枝湯の身体の状態だったのですが、下剤をかけたりして胸に熱が入ってしまった状態の時です。脈促(脈が速くて飛ぶ)であるのは、血に熱がある為早くて飛んでしまう。桂枝湯から芍薬がいらないと言うことは、体の中に熱があり(この場合、胸に熱がある)苦しんでいます。その熱を発散させれる為に芍薬を抜いているのです。

4 桂枝去芍薬加附子湯

桂枝去芍薬湯に附子を加えたものと言う事は、脈が速くて飛んで、胸が重苦しく身体の表面に冷えがある時の良いものです。身体の表面は、皮膚であり皮膚の直ぐ下には衛気(脈外にあり全身を隈なく温めるもの)があります。皮膚は、五行から考えると肺や大腸と関係があります。肺は、上焦(胃から上)のも属する事からこの場合は胸に症状が出やすくなり、胸苦しい症状が出ることがあると言っているのだと思います。

5桂枝麻黄各半湯

桂枝湯と麻黄湯を半量ずつにしたもので、桂枝1.7g芍薬1.0g生姜1.0g炙甘草1.0g麻黄1.0g大棗1.3g杏仁1.0gと配合されています。

柴胡剤(傷寒論で柴胡が入った漢方薬では、往来寒熱と言って、1日の間で熱が上がったり寒気があったりを繰り返す)のようなものではなく、熱が多い為に悪寒が少ない状態。柴胡は半表半裏の熱だが、麻黄は表の裏に熱がある。桂枝は表の表に熱がある。半表半裏でないので裏である胃に障害がない為に嘔気がないのです。(麻黄を入れても大丈夫)この熱の為にかゆみが出てくる。熱邪がある場所が違うと1日のうちで熱が上がったり下がったり、かゆみが出たりする。

6 桂枝二麻黄一湯

桂枝1.7g芍薬1.25g麻黄0.67g生姜1.25g杏仁0.9g炙甘草1.08g大棗1,75g

まず寒気が出た後熱が出る事1日2回繰り返すと言う症状が出る前に汗をたくさんかいた事あるもの。桂枝麻黄各半湯より麻黄湯が多いという事は、熱を発散する必要があるという事。熱のある所が表辺りにある。

7 桂枝二越婢一湯

桂枝0.75g芍薬0,75g炙甘草0.75g生姜1.3g大棗1.3g麻黄0,75g石膏1.0g

太陽病上篇28条に載っています。全体的に容量が少ない処方です。太陽病発熱悪寒して熱多く寒少なきも脈微弱の者は之陽無きなり。更に発汗すべからず。桂枝二越婢一湯の方によろしい。とあります。太陽病になって発熱して、熱症状が多くて寒気が少ないのは寒邪が身体の表面をせめて、生気と戦うが熱と悪寒が出てきた。この場合は、熱の方が寒気より多く寒気が少ない。脈は通常浮いて緊張した脈になるのだが、正気の陽気が少ない為に脈が微かで弱くなる。これは、患者の陽気が少ないので汗を出しててはいけない。風邪を引いた時に葛根湯を服用する時は、身体内に汗が出ずに陽気が体内にあり、脈が浮いて緊張した脈になるが、この場合は患者さんの陽気が少ない為に汗を出すことにより陽気を出してしまう為に汗を出すようなお薬を飲ませてはいけない。桂枝二越婢一湯が良いと言う事です。

8 桂枝去桂加茯苓白朮湯

芍薬3g炙甘草2g生姜3g大棗4g茯苓3g白朮3g

太陽病上篇第28条に載っております。桂枝湯から桂枝を除いて茯苓3gと白朮3gを加えた者です。桂枝湯を服用したか或いは下剤を飲んだ後で頭項強ばり、ポッポっと熱がでて汗が出ていなくみぞおちの下が張って少し痛みがあり小便が出ない者は桂枝去桂加茯苓白朮湯これを主る。とあります。

桂枝湯を飲んだり下剤を飲んだ後でと言う事は、汗が出ているが熱があったり便秘をしていて胃に熱があったと判断したのでしょう。陽気を発汗や下剤を飲んで表症の熱や頭項の強ばりや胃の熱を下剤により出そうとしたが、熱が取れずに残ってしまった。小便が出なく汗が出ない為に水が残ってしまい、お腹が張り少し痛みがでてしまったので、表に行く桂枝を除いて小便で水を出す為に茯苓と白朮を加えてある。体内の水と熱の関係で色々な症状が出てくる。体質や状況や薬を飲む事により身体の変化を把握する。

9 桂枝加芍薬生姜各一両人参三両新加湯

桂枝3g芍薬4g炙甘草2g生姜4g大棗4g人参3g

太陽病中編第32条にあります。桂枝湯に芍薬と生姜を各1g増量して人参を加えた処方になります。発汗した後で身体が疼き痛み脈が沈んで遅くなった者は桂枝加芍薬生姜各1g人参3g人参新加湯が主治します。とあります。麻黄湯や葛根湯などで発汗して身体の表の熱を取ったが、脈が沈んでつまり病気の原因である熱邪が中に入ってしまった為に胃に熱が入ったので人参で胃を少し冷やして胃に力を与えて体液を調整する。発汗の為に身体の表面が冷えたり血液が少なくなったものを改善する芍薬を加えて、生姜で胃を温め身体の表面も温める。中に入った熱を取り後天の精である胃を補い体液である津液を補う事により痛みを取る。

10 桂枝去芍薬加蜀漆龍骨牡蠣湯

桂枝3g炙甘草2g生姜3g牡蠣5g龍骨4g大棗4g蜀漆3g

太陽病中篇と驚悸吐衄下血胸満瘀血篇に載っています。血管のしぶりを改善して血行をよくする芍薬がいらない状態で内を補い縮まりを緩め血気を整える龍骨と渇きを潤して血気を巡りを整えて和す。驚きや動悸に良いとされています。蜀漆は気を益し外を整えるて寒熱を治す。桂枝湯は汗が出やすく表症と言われる身体の表の症状があります。汗が出やすい事で色々な状態になるという事で、気持ちが落ち着かないとか鼻血が出る大火傷をした時に同じような状態になるという事です。

 

11 桂枝加芍薬湯

桂枝3g芍薬6g炙甘草2g生姜3g大棗4g

処方名が桂枝加芍薬湯となっていますが、芍薬は桂枝湯にも入っており、3gを増量しているのが、桂枝加芍薬湯です。

太陰病に乗っています。本来、太陽病であるものを医師が間違って下剤を飲ませてしまい、時々腹痛を起こしてしまった者は太陰病になったのである。このような場合は、桂枝加芍薬湯が主治するのである。太陽病では、熱が身体の表にあり発汗させて熱を出すのが正しい治療法になるのだが、間違って下剤を飲ませた事により身体の表面にあった熱が胃に引き込まれてしまった。胃が実熱持ってしまった。このような時は、桂枝加芍薬湯が良いのです。東洋医学では、身体に熱邪や水の所在を明らかにする事が大切ですよと言っているのです。

12 桂枝加大黄湯

桂枝3g芍薬6g生姜3g炙甘草2g大棗4g大黄1g

処方名が桂枝加大黄湯になっていますが、分量を見てますと桂枝加芍薬湯に大黄が1g入った処方になっています。

つまり、桂枝加芍薬湯は胃に実熱があって痛む時ですが、こちらに大黄が入っているという事は大黄に働きに注目する事が大切です。大黄は、胃の熱をとり便秘や下痢に良いものです。つまり桂枝加芍薬湯よりさらに胃に熱邪が入り水分が飛んで便秘になっている状態です。

13 桂枝加桂湯

桂枝5g芍薬3g生姜3g大棗4g炙甘草2g

桂枝湯の桂枝2g増量した処方です。太陽病中編と奔豚気病篇にあります。奔豚気とは下腹部から気が突き上げて不穏な状態になる事です。桂枝の働きである衝逆や表症と呼ばれるものが強いという事で、桂枝湯よりさらにのぼせのような衝逆のような症状が強い時に良いとされています。

 

14 桂枝加龍骨牡蠣湯

桂枝3g芍薬3g生姜3g炙甘草2g大棗4g龍骨3g牡蠣3g

血痺虚労病にあります。夫(そ)れ失精家は少腹弦急し陰頭寒え(こごえ)目弦髪落し脉極虚芤遅にして清穀亡血失精を為す。脉諸の芤動微緊を得れば、男子は失精、女子は夢交する。桂枝加龍骨牡蠣湯之(これ)を主(つかさど)る。

15 桂枝去芍薬加皁莢(そうきょう)湯

桂枝3g生姜3g炙甘草2g大棗3.3g皁莢0.2g

桂枝湯から芍薬を除いて皁莢を加えたものと考えて良いのではないかと思います。大棗が桂枝湯の4gから減量されています。皁莢は、咳を治したり、涎(よだれ)を改善する働きがあると言われています。熱が出ている時に加熱法で温めすぎると陽気が少なくなると驚き落ち着かず寝ても起きてもいられなくなってしまう。

16 桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯

桂枝3g生姜3g大棗4g炙甘草2g麻黄2g細辛2g炮附子0.2g

桂枝湯から芍薬を除いて麻黄附子細辛湯を合わせた処方。金匱要略の水気病に載っています。身体に寒(冷え)と血の不足があって胃に気と寒の不足が原因でなる気分の病気で、みぞおちが硬くその大きさが盃のようでまるくその辺りが伏せた盃のような感じで、水飲(飲んだ水が溜まった病気)によるものである。麻黄附子細辛湯は身体の表に寒(冷え)があり、桂枝湯から芍薬を除いたという事は、胃も冷えているという事です。汗であるとか加齢であるとか陽気が足りないと身体の中が冷えるという事を条文ではいっているのです。その意味を考えると漢方医学の奥深さは計り知れないです。

17 桂枝加葛根湯

葛根4g芍薬2g炙甘草2g生姜3g大棗4g桂枝2g

桂枝湯に葛根を加えた処方とて考えてよいかと思います。桂枝湯が桂枝が主薬なのですが。桂枝加葛根湯になると葛根が主薬になります。桂枝湯は、汗が出やすく発熱などの身体の表の症状がある場合によいお薬でそれに葛根が加えてあります。葛根湯は汗が出にくい場合に良いのですが、桂枝湯の場合は汗が出ている場合です。葛根が入っているという事は、葛根の働くところが身体の表面になるいう事がわかるのです。同じ肩こりでも身体の表面に原因がないと効果が期待できないということだと思います。

18桂枝加黄耆湯

桂枝3g芍薬3g炙甘草2g生姜3g大棗4g黄耆2g

桂枝湯に黄耆2gが加えられたものです。金匱要略の水気病に載っています。桂枝湯が汗が出やすい場合で、それに黄耆の働きが加わったとも考えれますので、黄耆について考えて見ます。黄耆は身体の外側を補い堅くなっているものを緩めてあげ寒(冷え)を除く働きがあります。甘温ですので、胃に症状が出ています。汗が出やすく冷えの為に胃や皮膚病や神経痛などの痛みを表すのです。

陰陽が身体の外や中でどのような働きをして五臓六腑や気血水・営衛などが身体を統制しているのかを現しているのですが、漢方医学の難解さが少しでも判っていただければ幸いです。信頼できる漢方医学を勉強されている方に巡り会えるのは、人生の宝になります。良い出会いがありますように。

 

 

平成30年5月のご相談ベスト5です!

6月1日(金曜日)
こんにちは😃
梅雨入りが間近ですが、明後日まで青空が見られそうです。
毎月恒例の先月、ご相談いただいた症状を投稿させていただきます。初めてご相談いただいた方が1日で一つの症状が改善のされたとの事で、多岐に渡るご相談をいただきましたが7割程は1日から7日程で改善しています。
漢方医学は難解ですが、研究をしていきます。
当薬局は、土日も開局しております。
お休みでもお電話にてご連絡いただければ、携帯電話な転送され対応が可能です。
圏外などで繋がらない場合は、折り返し連絡させていただきます。
一人一人を大切にご相談を承ります。

傷寒論中の傷寒例の条文「陰陽」について。

夫陽盛陰虚汗之則死之則癒陽虚陰盛汗之則癒下則癒下則死神夫是則神丹安可以誤発甘遂何妄攻虚盛之治相背千里吉凶之機応若影響豈容易哉況桂枝下咽陽盛即斃承気入胃陰盛以亡死生之要在乎須臾視之尽不暇計日此陰陽虚実之混交錯其候至微発汗吐下之相反其禍至速而医術浅狭懵不知病源為治乃謝使病者殞歿自謂其分至令寃魂塞於冥路死屍盈於曠野仁者鑑此豈不痛歟

解釈

一般に陽が盛んで陰が虚して入状態のものを発汗させると死んでしまう。下してやると癒えるのである。陽が衰えて陰が盛んであるものを発汗してやると癒るのである。下してやると死ぬのである。このようであるならば、軽々しく神丹(発汗薬)を用いて誤って発汗させて良いものであろうか?甘遂が入っている下剤でやたらに下して良いのであろうか?虚に用いる治療と実に用いる治療とは千里の隔たりがある。吉と凶との転機というものは、ちょうどかげやひびきのように速いものである。どうしてたやすいことであろうか!ましてや桂枝湯を服用させ陽が盛んであると倒れるし、承気湯を服用させる陰が盛んであれば、命を失ってします。命の尽きるのは、日数を数える余裕すらないのである。この陰と陽、虚と実の入り乱れだ様子が身体に現れるのは極めて微かであり、見落としやすいが、発汗と吐下の間違った治療を行ってしまうとその禍いは至って速く現れる。それは、医術が浅く狭いために医道の根本をわきまえずに病の起きる源を知らずに治療を施して、誤って病人を死亡させてしまい、それをその人の寿命だと言い逃れてしまう。誤治で死んだ罪のない人の魂は、冥路を塞いでしまい、屍は荒野に満ちてしますのである。心ある人は、これを見てどうして悲しまないでいられようか!

この条文の初めの「一般に陽が盛んで陰が虚して入状態のものを発汗させると死んでしまう。下してやると癒えるのである。陽が衰えて陰が盛んであるものを発汗してやると癒るのである。下してやると死ぬのである。」表が寒邪により陽気が盛んになると解釈すると逆になってしまいます。陽と陰の性質から考えて見ると「陽」は開を司り、陰は閉を司ると考えてみると納得できるのです。つまり、陽が盛んになり陽気がたくさん出てしまっている所に発汗させてしますと陽気が体に少なくなり、死んでしまうのです。

まだまだ勉強しないといけませんね。

5月21日は「小満」です。

本日は24節気の「小満」です。
万物が次第に長じて天地に満ち始める意味があります。
陽気が盛んになり梅雨入り間近の頃です。
近隣のスーパーのダイエー小石川店様の前の紫陽花が咲いてきました。
梅雨に入ると漢方では「湿」(しつ或はしゅうと読みます)が病気の原因になります。
お食事をしっかり摂って、汗を出したり、お小水を出して身体から過剰な水を出す事が大切です。

陰暦4月の養生です^_^

5月19日(土曜日)
おはようございます😃
今朝の後楽園は曇り空です。
本日は天候が不安定になるようです。
遅くなりましたが今月5月15日から6月13日までは、こえんどろ(パクチー)を食べ過ぎると気が変になる事があるようです。
好みが別れる食べ物ですが、程々がよろしいようです。
本日も8時までお役に立ちたいと思います。

漢方の流派について

先日、漢方の流派についてご質問いただきましたので、こちらで改めて投稿しますね。
日本で漢方というと東洋医学全般の事を指すのではないかと思います。
漢方は蘭方が入ってきてから、既存の医学である医学に名前をつける事になりました。
それまでの医学は、遣唐使や遣隋使により伝わった医学が主な医学であったと思われます。
元となったのが、傷寒雑病論(傷寒論・金匱要略)です。
この傷寒雑病論を研究したのが古法派と呼ばれています。
古法派の中でも折中派もあります。
日本では、後世派、和方と呼ばれる流派、浅田飴で有名な浅田流など、中国では、中医学と呼びます。現在の中医学は、傷寒雑病論から応用して理論を組み立てて特徴は弁証論治だと思います。
日本の漢方は、腹診が特徴と言われますが、傷寒論に腹診の記載がないため、日本の漢方の特徴といいうより日本のある1派の特徴と理解した方が、適切ではないかと思います。
中国の中医学による漢方薬は、現在例えば「葛根湯」というような漢方薬で処方される事はほとんどありません。
ある生薬(原料)を何グラムある生薬を何グラムといったような処方になります。これでは、漢方薬局ではできないこともあるので、たくさんの種類の漢方処方が製造販売されています。
有名な漢方薬で加味逍遥散というお薬がありますが、傷寒雑病論
に載っていませんが、汎用する古法の先生もいらっしゃいます。
これは、漢方医学が複雑なため理論が定型化されていないのだと思います。
こうしてみると漢方医学は、日本においては哲学的な要素があるのだと思います。一人一人の先生方が哲学を持って理論を組み立てているものが漢方医学だと思います。
信頼できる先生に会えることは人生の宝になると思います。

5月5日は、立夏です^_^

本日、平成30年5月5日は立夏です。

暦の上では、本日から夏になります。実際は、8月程暑くはなりませんが、天の気は、盛んになっています。

陽気が盛んになり、身体の表面は天の気により暑くなります。身体の表面が暑くなると汗を出して、体温を一定に保とうとします。汗を出すことは、身体の中つまり胃を冷やすします。夏は暑くなり胃を冷やすので暑い時は、暖かいものを取ることが体調を整える為にお勧めします。汗を出しすぎると胃がカラカラになり熱を持つようになります。この熱が軽い性質を持つ為頭に上がってきます。頭に熱を持つと精神的な症状が出てきます。

ご参考になれば幸いです。

4月のご相談ベスト5です。

4月があっという間に終わり、ゴールデンウイークに入りました。

4月は、花粉症の方が多くいらしていただきました。皆様に大変喜んでいただきました。ご覧いただいるように多岐に渡り、ご相談を承りました。

漢方医学の難しさや漢方薬の素晴らしさを改めて感じた月でもありました。

補足させていただきますと、脳機能障害には「脊髄小脳変性症」「アルツハイマー型認知症」の方などが含めました。あまり漢方薬で馴染みがない「歯痛」も改善されました。(抗生物質で改善されな方がいらしていただいています)

当薬局では、ほとんどの方が1種類の漢方薬(例えば、葛根湯など)で改善されています。