PMS(月経前症候群)

月経前症候群とは、生理の2週間程前から心と身体両方の起るアンバランスな状態をいいます。

女性ならではのホルモンのアンバランスが色々な症状になって現れます。性格であるとか人格に問題があるわけではありません。この事を回りの方も理解してくれるといいですね。

「症状」として、次にようなものがあります。

下腹部痛、腹痛、下腹部が張る、乳房が痛い・張る、頭痛、肩こり、めまい、手足の冷え、ニキビができやすい、肌荒れ、化粧のりが悪い、むくみ、咽が渇く、食欲が増す・なくなる、肌荒れ、昼までも眠くなる、おりものが増える・ねばねばする、身体が重い、イライラしやすい、怒りやすい、無気力になる、憂鬱なる、気分が不安定になる、女性である事がイヤになる、人付き合いがめんどうになる、、など。

 

「日本の伝統医学である漢方」では、どのように考えるか?

漢方の古典、正確にいうと東洋医学の古典「金匱要略」の中に、婦人雑病篇という項目があります。この古典は、東洋医学の生理学、聖本である「皇帝内経」(こうていだいけい)と漢方の原料である、動植物、鉱物の研究をまとめた「神農本草経」を元に治療の仕方、間違った時の対処方法、漢方薬の使い方、原料、原料の容量、煎じ方、飲み方が記載されています。

 

生理に関係する経絡があります。まず、経絡とは何でしょうか?という声が聞こえてきそうです。経絡とは、人の身体の中で気血(エネルギーと食べ物が消化してできた物と消化器系からできたエネルギーが合わさったもの)が循環する経路のことをいいます。

女性に関係する経絡は、「督脉」・「任脉」・「衝脉」・「帯脉」があります。

「督脉」とは、総監督の意味があります。

督脉

腎臓の下方の子宮から起こり、肛門と陰部との間の会陰穴(ツボの名前)から始まり、尾てい骨の真下の長強穴を経て、背裏を上って背部正中線をめぐり、陽経脉と交叉して陽経脉を調整・監督している。また、脳に属し腎と連絡している。腎、髄、脳の関係から督脉は脳や脊髄の生理、病理を反映し、任脉とともに腎、膀胱を絡い、脳、脊髄、生殖器官とを相互的に連係させている。表面をいくものは、後頭を回って頭頂部に上り、さらに下行して前額から鼻柱を通り、上唇口中に入る。

 

「任脉」とは「かなめ」という意味があり、妊に通じる脉から命名されました。この脉は、女性の生養の元となっています。

子宮より衝脉、督脉とともに発生し、会陰穴に起始し、腹内をめぐって腹部の正中線を上行して咽喉部に至り、下唇の下、少漿穴で終わるが、さらに唇をめぐって督脉の終点でる齦交に至り、左右に別れ、両眼の下で胃経と会する。

任脉

 

「衝脉」の「衝」は「かなめ」とか大通りという意味です。十二経絡の重要な通路にあり、それらの経脉の気血を調節しています。任脉と一緒に生理を調節し、生理機能に関与しています。

任脉と督脉と同じで子宮から起こり、上行して背裏をめぐります。浅い表面をいくものは足の少陰腎経と並んでヘソを挟んで上行し胸中に入るもの、上行して咽喉に至り、口唇を巡る。

任脉衝脉

 

「帯脉」の帯には束ねるという意味があります。

腰を締め調える帯のように腰の周囲をぐるりと囲んでいます。縦の諸々の経脉を束ねるように腰に締め、各経脉が道から外れないように防止しています。

 

帯脉

 

以上のような経脉が関係していると考えれらます。

上記の症状で全部兼ね備えた方は、いらっしゃらないと思います。その方の症状を線で繋いでいくと、一つの東洋医学での病態にたどり着きます。また、症状を横並びにするのではなく、症状の順番も重要な決め手になります。

 

このような事から、お身体にあわせたお薬をお選び致します。